人がつい高いものを買ってしまう3つの心理作用とローボールテクニック

クレジットカード

店員

40インチ液晶テレビが本日限り3万円です!

といったような、割と誰が見ても

お!安いかも…!

といったような広告を目にする時があります。

年々液晶テレビは安くなってますが、40インチで3万円はノーブランドだとしても安く感じます。

広告につられて販売店にいってみたら、

店員

大変申し訳ありません…

先程あの広告の品は売り切れてしまいました。。

ってのはよくあることかもしれません。。

しかし、そこで店員さんが

店員

43インチで6万円の商品でしたらまだ在庫がありますが…。

と誘導を。

こんな時あなたならどうするでしょう?

ローボールテクニック

上記はあくまでも例えではありますが、

[icon name=”hand-o-right” class=”” unprefixed_class=””] 割と購入してしまう人が多い

らしいみたいです。

当初買おうとしていた3万円と誘導された6万円では、インチ数が違うとはいえ金額的には2倍の差があります。

6万円出すんだったら他のお店にもありそうですし、特にこのお店で購入する必要はない気もします。

…が、

40インチ3万円 ≒ このお店にある品はどれも他より安い
損はしたくない…!
せっかく足運んで店まで来たし…。

などなどいろんな意識が働いてしまう傾向が強く、割と当初のお目当て品より出費が高くなってしまっても購入する方が多いそうです。

このような販売手法は心理学術的に「ローボール・テクニック」と呼ばれていて、人は基本的に一度決めたことをやり通そうとする心理作用の「一貫性の原理」を活用した販売手法とされています。

上記の場合は、金額の安い高い云々ではなく、

液晶テレビを購入するつもりで店に来た

という行動の一貫性を保とうとする心理作用が働くため買ってしまうケースが多いのだとか。

ローボールテクニックとは?

?

ローボール = 低くて遅い球

のことで、野球があまり得意ではない人やキャッチボール自体をしたことない人に、

遅くて低い取りやすい球投げるから大丈夫だよ

といって誘い、

ん…それなら大丈夫かな…

と安心させつつ、いざキャッチボールをし始めたらだんだんと速くて高い球も投げるし、遅くて低い球じゃなくてもキャッチボール自体止めない。。

ような、誘われた側からすると

一度承諾をしてしまうと、たとえ条件が多少変わったとしても断りにくくなる性質

のことを言います。

結構ずるいですね。

MEMO

「ローボールテクニック」はその性質上、承諾を得た後で好条件を取り除くことから、

  • 特典除去法
  • 承諾先取説得法

とも呼ばれています。

購入者側の3つの心理作用

財布

最初に挙げた液晶テレビの例も、このキャッチボールの相手と同じように、最初に好条件(安い液晶テレビ)を提示されて、購入しに店舗まで行く( ≒承諾)と、その後で条件が変わっても結局テレビを購入してしまう(≒ 断りづらくなってしまってる)んですね。。

このローボールテクニックは、店頭販売などで特に効果があるとされています。

それは、販売者側のローボールテクニックと購入者側に働く3つの心理作用とが絶妙にマッチしてしまうためで、これが例えばインターネットでの商品購入であれば起こりづらい現象の一種だとされています。

では、

店頭販売で購入者側はどんな心理作用が働いているのか…?

簡単にではありますが、ひとつずつ見ていきたいと思います。

購入者側の心理作用:1
「一貫性の原理」

矢印

人は基本的に一度決めたことをやり通そうとする心理作用が「一貫性の原理」です。

上記の例でいえば、

私はテレビを買いに店に来た

という行動の一貫性を保とうとする心理作用が働いていると考えられえています。

購入者側の心理作用:2
「認知的不協和理論」

困った表情

私はテレビを買いに店に来た

という行動の一貫性を保とうとする心理作用が働いている中で、お目当てのものが品切れで変わりに提示されたものに対して、

6万円のテレビは高い…!

と思っても、液晶テレビを買いに来たという当初の気持ちとがぶつかり合い、買って帰らないという行動には矛盾が生まれ、一種の”気持ち悪い”という感情が生じやすくなります。

こういった矛盾からくる一種の”気持ち悪い”という感情は「認知的不協和」と呼ばれる心理作用で、認知的不協和を感じた時、人はその矛盾を解決しようとして、解決のためにとった行動は肯定されがちになるといいます。

多少高くなっても他店よりは安いかもしれないし、液晶テレビを買うと決めて来たからな…

といったような正当化する気持ちが働きやすくなっており、自分を肯定することで気持ちに生じた矛盾を正そうとする傾向があります。

購入者側の心理作用:3
「コンコルド効果」

残念な表情

また、人は費やした時間や労力が無駄になると分かったときには

もったいない…!

と感じます。

仮にそれ以上費やしても無駄だし損失でしかないと頭では理解していても「もったいない」という気持ちが勝り、結局途中でやめられない…といった傾向

があります。

これは「コンコルド効果」と呼ばれている心理作用で、中でも

  • 時間
  • 労力、努力
  • お金

の3つに関しては敏感に反応するし、やめられない状態が続くケースが多いとされています。

上記の例で言えば、

テレビ買うためにせっかく店舗まで来たのに、無駄足になってしまう…

と考えてしまいがちになり、店舗まで足を伸ばした労力を「もったいない」と感じてしまう傾向があるとされています。

購入者側心理として…

タグ

購入者側には、

  • 一貫性の原理
  • 認知的不協和理論
  • コンコルド効果

という3つの心理作用が働きやすくなる傾向があると記載しましたが、こういった心理作用が働く時には、人は得てして

気持ち優先になり視野が極端に狭くなってしまう

特徴があります。

 

上記の例でいえば、40インチのテレビが3万円で買えなかった時点で購入者側の3つの心理作用が働き、この時点で視野が狭くなってしまっています。

そうなると、店員さんから43インチ6万円のテレビを勧められた際に、他店の値段と比較するという選択肢が取られにくいですし、

広告の品がなかったから諦めて帰ろう

という行動にはなりづらい傾向があります。

加えて、仮に店員さんに進められたテレビを買って帰った後でちょっと落ち着いた時に

これ買うなら違う店の方が安かったかも…

と思ったとしても、何かと自分を正当化してしまう傾向が強いため、

騙された!

なんて気持ちにはほとんどなりません

このローボールテクニックは詐欺師も巧みに活用するテクニックだと言われていますし、当初の目的が果たせなかった時は、たとえそれまでの

  • 時間
  • 労力
  • お金

が無駄になってしまうような場合でも、それはそれと割り切れる気持ちが大事になってくるのかもしれません。

また、後から条件が変わったり付け加えられるような場合にも、きちんと指摘できる視点と意思が大切だと感じます。