強制的選択肢で相手に「No」を言わせないダブルバインドの効果的な使い方

選択

いきなりですが、

あなたは海派ですか?山派ですか?

と聞かれたら、何と答えますか?

断然、海派!
どちらかと言えば…山かな

と考えてしまった場合、元来どちらかが好きだとしても、ちょっと気をつけた方が良いかもしれません。。

あなたは犬派ですか?猫派ですか?

という質問も同様です。

上記2つの質問には、

両方好き(嫌い)
都会派

ハムスター派

などなどいろんな答えがある中で、用意された答えを選んでしまってた場合、質問者の誘導に乗っかってしまっていて質問者を優位な立場に立たせてしまう傾向があります。

ダブルバインド

選択

こういった手法は、

  • セールスマン
  • 販売員
  • 指導者
  • 洗脳者

と幅広く活用されているのが見受けられるそうです。

心理学では「ダブルバインド」と呼ばれており、「二重拘束」と訳されています。

ダブルバインドとは?

?

ダブルバインドという言葉は、アメリカの精神科医グレゴリー・ベイトソン博士が1950年代に提唱したもので、

本来は統合失調症研究の過程で発見されたコミュニケーションパターンのひとつでした。

ダブルバインドは、

メッセージとメタメッセージが矛盾するコミュニケーション状況におかれること。
by Wikipedia

を指しており、

本来比較するものではない2つ以上のものを強制的に選択させられた時に、比較対象がおかしいことを指摘せず応答してしまっている状態

のことをいいます。

ベイトソン博士は、

ダブルバインドが繰り返されることで、自分で選んだり考える気持ちが抑えつけられ、精神分裂症を引き起こしてしまうリスクが高まる

との仮説を発表しています。

ダブルバインドと統合失調症の因果関係は今日でも認められてはいませんが、ダブルバインドが繰り返し使われることによって選択を迫られた方には心理的なストレスが過度にかかることは確認されています。

ダブルバインドの特性

検証

ベイトソン博士の仮説で、

「メッセージとメタメッセージが矛盾するコミュニケーション状況」
(本来比較するものではない2つ以上のものを強制的に選択させられる状況)

というのは、この記事の最初の質問で

海派か山派か

犬派か猫派か

と聞かれた場合のケースを挙げましたが、

そもそも海と山や犬と猫は二者択一で選択できるものではない

ということを指摘しています。

例えばこれが、

山派ですか?丘派ですか?

海派ですか?川派ですか?

だとしたら、

同系統のものや同じジャンルに属しているので比較対象として成立する

というのが博士が提唱している内容です。

代表的なペットとして「犬派か猫派か」を聞いている場合でも、確かに他に選択肢はたくさんあります。

人は選択肢が好き

ドア

また、そもそも人は

与えられた選択肢から選ぶことを好む傾向がある

とされています。

ある調査によると、

入力率調査PCやスマホ画面で自分の誕生日を入力する際に、直接入力するよりも数字を選択して選ぶフォームの方が入力率は約30%高かった

というデータもあります。

このように、人が選択を好む特性?を活かして本来同じジャンルやカテゴリーに属さないものを比較対象として質問することも含めて、今日では「ダブルバインド」と呼ばれています。

ダブルバインドの使われ方

会話

ダブルバインドは似たような事例も含めて様々な場面で広く活用されています。

ビジネスで使われているダブルバインド例

洋服

例えば、お店などで

こちらいかがでしょう?

という聞き方は、相手に

はい、お願いします
いいえ、結構です

といった「Yes」か「No」の二者択一を伺う聞き方にはなりますが、そこで「No」と言われればそれまでになってしまいます。

それだと店的には売上が伸びづらくなりますね。

そこで使われているのが、

ザイズはS、M、Lからお選び出来ますがどちらにしますか?

といったような相手に選択を尋ねる限定的聞き方で、言われた方は「その商品自体不要」という選択肢が選ばれにくくなります。

結果、

…では、Mサイズで。。

と答えてしまうと、

自分で選択した

という気持ちも働きやすくなります。
上記は、

Yes(No)を前提としたダブルバインド

とされており、自分で購入したという意識も相まって、購入後のクレームも少ないそうです。

商品で使われているダブルバインド例

タオル

「Yes(No)を前提としたダブルバインド」的状況は、会話の中だけでなく商品としても応用されています。

「カラバリ」と呼ばれたりしますが、同一商品でカラーの違うものがよく展開されているのは、その商品を買うかどうかではなく

(私なら)どの色を使うか?

と考えさせることで、購入したことを前提にその商品自体を既に使っているイメージが持ちやすくなる効果があるとされています。

下記は会話形式になってしまいますが、

こちら、温めて使うことでより一層効果を発揮します。

といった表現も、「Yes(No)を前提としたダブルバインド」の一種で

そのままで使うのと温めて使うのでは、どちらがお好みですか?

といった質問を省いて、既にその商品を使っているイメージをより強く意識させています。

お誘い等で使われているダブルバインド例

お誘い

一緒に運動しない?

と相手に聞いた場合、一緒に運動出来るかもしれませんし、出来ないかもしれません。

が、

ウォーキングとランニングどっちがいい?

と聞けば、どちらが選択されたとしても一緒に運動することには変わりありませんね。

ダブルバインドの効果的な使い方

資料

ちなみに、ダブルバインドのような選択肢を使う場合、一般的に、

  • 言い手:
    相手に選択してもらいたい方を先に言う
  • 聞き手:
    最後に言われた方を選択する

傾向が強いとされています。

想像や言葉だけのイメージなど並列的に物事を考える場合人は最後に聞いたことを選択しがちになる「親近効果」も確認されていますので、自分が相手にどちらか一方を選んでもらいたい場合は、選んでもらいたいものを選択肢の最後に言うと選ばれやすくなります。

ダブルバインドは…

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相手に「Yes」を前提とした選択肢を伺うダブルバインド。

人は与えられた選択肢から選ぶことを好む傾向にもあることから、ダブルバインドは相手から「Yes」を取りやすくなる手法のひとつに数えられます。

が、逆に言えば聞き手の意図が隠された選択肢とも取れるので、本来比較対象ではないような選択を迫られる場合、受け手としては第三の選択肢を持つ意志も必要になってくるかもしれません。

また、ダブルバインドを使う場合も、繰り返す使うことで相手に心理的ストレスを掛けてしまう場合がベイトソン博士の研究からも分かっていますので、注意が必要です。