劣等感を感じた時に取る2つの行動パターンと逆「劣等性の補償」の使われ方

ライト

強弱の違いはあれ、人は誰でも

他人からよく思われたい…!

という気持ちが無意識下にあると言われています。

  • 初めてのデート
  • モノにしたいプレゼン
  • ここで決めたい商談

の時…などなど、言葉や各資料内容の充実もさることながら、そんな時は自分の外見や身だしなみもきちんと整えたりするものです。

人は見た目が9割
(竹内一郎著、新潮新書)

という言葉や本などが話題になってからは、より意識されるようになってきている傾向にあります。

  • 髪を整えたり、
  • スーツやワイシャツのシワを伸ばしたり、
  • 体臭に気を遣ったり

などして清潔感を意識するのとしないのでは、人に与える印象が大きく変わってきますので大事な要素となっています。

「やりすぎ注意」の反動形成

加工

しかし、中には必要最低限以上をしてしまい、

見栄張り

だという印象を与えてしまっている場合も少なくありません。。

着飾ることもそうですが、

よく思われたい…!

の気持ちが強くて、例えばほんの少ししか関わっていないことでもあたかも自分の手柄のように周りに言ったりするのも見栄え張りの一種です。

反動形成

反動

よく必要以上見栄を張る人に多い特徴として、

他の人より強い劣等感が自分の中にある

ことが挙げられると言います。

自分が劣っていると普段から感じている、または自分にも出来たけど機会がなかったなど、

暗に自分で認めている劣等感に対して、周りに実際以上によく見せようとすることで、その時に生じた劣等感を補おうとする

心理作用です。

このような心理作用は、心理学では「反動形成」と呼ばれる自我防衛機能のひとつとされており、元来人間が誰しも持っているものだとされています。

MEMO
  • 自我防衛機能

欲求が満足できない時に起こる無意識下での心の働き

必要以上に見栄を張ってしまう人は、

  • 自己劣等感
  • 人によく思われたい
  • 他人より劣っていたくない

などの意識が単体または混同で強い傾向にあるそうです。

劣等感を感じた時にとる2つの行動パターン

分かれ道

精神医学の権威で精神分析学者であったジークムント・フロイト博士によると、

博士

劣等感とは誰でも持ち合わせている感情

であり、

博士

「他人より優れていたいという気持ち」と
「現実とのギャップ」によって生じるもの

だと論じています。

あまり一概には言えない例えではありますが、例えば友人Aさんが同僚Bさんに、

私、高級車を購入したんだ

という話をしたとします。

車に興味があって自分でも車を所有しているBさんは、その話を聞いて

…いいなぁ

と感じました。

この時点でBさんは、Aさんの方が自分よりも優れていると無意識に感じてしまっています。
(=劣等感)

Bさんの心の中ではいろんな感情が生じていると思いますが、劣等感を感じたBさんが以後に取る代表的な行動パターンは、心理学者アドラー博士によると2通りに分けられるといいます。

劣等感を感じた時にとる行動パターン:1
「努力」

努力

まずひとつ目は、

努力して劣っている部分を克服する

という行動パターンです。

上記例でいうと、Bさんはより仕事を頑張って稼ぐなどして、Aさんと同じかそれ以上の高級車を購入しようとするパターンです。

劣等感を感じた時にとる行動パターン:2
「思い込み」

思い込み

もうひとつは、

自分は劣っていないと思い込む

という行動パターンです。

高級車を買ったお金はどうしたのか?
たまたま得た棚ぼた的なラッキーがあったんじゃないか?
…本当に高級車を買ったのか?

と探ってみたり、

自分は今の車で充分だし、そもそも高級車なんて必要ないし…。

と考える、または思い込むパターンです。

このように考えたり思い込んだりすることは、

劣等性の補償

と呼ばれている心の働きで、劣等感を感じた場合には、パターン:1の「努力」よりも、往々にしてパターン:2の「思い込み」をする心理作用が強く働く傾向にあるとされています。

つまり、

  • 人は誰でも潜在的に劣等感を持っていて、
  • 劣等感を感じた時には相手の言葉や物事を疑ったり打ち消す傾向がある

ということです。

劣等性の補償を逆手に取った使われ方

会話

劣等感の補償と対極にある心理作用が優越感を感じた場合です。

劣等感が気持ちの中で生じると、その話や物事を疑ったり打ち消したりする傾向があるのに対して、優越感を感じた場合は、相手の話や起こった物事を疑う気持ちは極めて少なくなる傾向があると言います。

そもそも優越感を自分で解消しようっていう気持ちにはなりづらいですからね。。

これは言い換えると、

自分が優位に立っていると感じた場合、人は相手の話を疑い少なく信じやすい

傾向にあるということです。

ビジネスをはじめとした営業やセールスの場などでは、この劣等性の補償を逆手に取って相手に優越感を与える手法や表現が巧みに活用されています。

例えば、

弊社には他に決して劣らない技術があります!

とどんなに意気込んで言われても、それが本当かもしれませんが聞き手としては

はぁ…
そーかなー

となりがちです。しかし、

弊社は小さな会社ですし、他と比べて劣る点は多々あります。

ですが、その分技術力を磨き高めることに集中してきましたので、その点だけには自信があります。

と言われると、

ほうほう、なるほど…

話を聞いてもらいやすくなるそうです。

上記はどちらも

技術力には自信がある

ということをアピールポイントとしていますが、後者の会話に出てきた

  • 小さな会社
  • 他と比べて劣る

などの言葉が、見栄を打ち消し聞き手に優越感を与えやすい作用があるため、その後の

技術力には自信がある

という本来言いたい言葉が相手に受け入れやすくなっていると考えられてます。

実際の使用例

ポイント

このバッグ、あなたが今持っているのよりもちょっと小ぶりだけど、中身にこんな工夫があるんです。
今着用されているコートよりも全然生地も薄いし値段も安いですが、こんな着回しが出来てこうゆう使い方も出来るんです。

といった言葉も、あえてそのもの自体の欠点を伝えることで、聞き手や買い手の優越感を刺激して

ちょっといいかも…!

と思わせる効果があります。

また、ちょっとした自己紹介をする時や自分を売り込みたい場合にも、

私には◯◯という欠点がありますが〜

以前△△というミスをしてしまった経験があり〜

□□はありませんが、●●ならあります!

など、自分の劣等性を敢えて相手に伝えることで、聞き手を優位に立たせ相手から信用を得やすくなる効果が期待出来ます。

逆「劣等性の補償」を使う際に気をつけたいこと

注意点

人は誰でも潜在的に劣等感を持っていて、劣等感を感じた時には相手の言葉や物事を疑ったり打ち消す傾向があるという「劣等性の補償」。

この心理作用を逆手に、謙遜しつつ相手に優越感を与えて自分の話を信じやすくさせるテクニックは、度を越しすぎてしまうと「太鼓持ち」と誤解されてしまいがちにもなります。

加えて、変にニヤニヤしながら話すと相手に変な印象を与え兼ねません。。

また、作り話や過度な盛り方は逆に警戒されるので、実際の使用時には

真顔で熱意を持って話す

ことを心がければ効果を発揮しやすくなります。