2005年8月14日に起こったギリシャ航空史上最悪といわれる墜落事故に関する報道で、世界的にも知名度や権威もある放送局がある誤報を流してしまった原因として、
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相手に安心感を与え、信用も得ることが出来る魔法のフレーズ
の中で、第三者からの情報には割と疑いなく受け入れやすくなりがちだということを「たまたま」というフレーズと絡めて紹介しました。
この記事では、
第三者からの情報には割と疑いなく受け入れやすくなりがち
になることにスポットを当てて、「口コミ」と絡めた心理作用をみていきたいと思います。
ウィンザー効果
人は不思議と第三者から間接的に情報が伝わることで裏付け等があるない関係なく、信ぴょう性や信頼性が増す心理作用がある
ということが実際に検証結果として分かっています。
これは、心理学術上「ウィンザー効果」と呼ばれているもので、
直接本人から伝わるよりも第三者を介して得た情報の方が、自身に影響を与えやすくなる
という心理作用です。
代表的な例として、
- 口コミ
- レビュー
(使用者評価) - 誰かの体験談
- 三人称会話
などがこのウィンザー効果にあたります。
ウィンザー効果とは?
ウィンザー効果は、元々ミステリー小説に出てくる一節が由来となった言葉で、
第三者の褒め言葉は、どんなときでも一番効き目があるのよ。
忘れないでね。
いつかきっとあなたの役に立つわ。
アーリーン・ロマノネス著
『伯爵夫人はスパイ』
と言った登場人物・ウィンザー公爵夫人のセリフに由来すると言われています。
ウィンザー効果による反応の違い
例えば、あなたが社内で表彰されたり、何かのサークルやグループなどの集まりで目覚ましい活躍をしたとします。
そこで周りの人たちが、
Aさん
Bさん
Cさん
と言ってくれてたとします。
本人から直接言ってもらうことも、もちろん嬉しいですが、
と感じてしまうことがあるかもしれません。
が、Aさん、Bさん、Cさんを知る共通の友人Dさん、Eさん、Fさんたちから
Dさん
Eさん
Fさん
って聞くと、
とAさん、Bさん、Cさんたちの言葉を変に疑いなく割と素直に受け止めやすい気持ちになります。
上記のような「口コミ」で、疑いなく割と素直に受け入れやすくなるような心理作用が働くことを「ウィンザー効果」と呼んでいます。
口コミの影響力
近年では、
- 口コミサイト
- レビューサイト
などがひとつのジャンルとして確率していますし、商品説明などでも「使用者の声」としてレビューを載せるのが当たり前な感じになっています。
その口コミやレビューが本当かどうかは一旦別にして、第三者の意見が他者に与える効果や影響力はどれ程のものなのか?
2016年に総務省が発表した、
参考
情報資産(レビュー、口コミ等)経済社会に対するICTの多面的な貢献
という項目の中で、口コミが商品購入に影響を及ぼす影響力の調査結果が公表されています。
[note title=”ICT”]Information and Communication Technology
(情報伝達技術)
関連リンク(PDFファイル)
経済社会に対するICTの多面的な貢献
この調査では、
- 20代〜60代の年代別
- 普段口コミサイトは利用するか?
- 商品のレビューは参考にするか?
- 口コミやレビューを読む際に、重視するポイントはどこか?
- なぜ口コミやレビューを書き込むのか?
などなど、いろんな視点から「口コミ / レビュー」に関するアンケート調査が実施されています。
その調査結果によると、年代を問わず約7割近くの人が口コミやレビューを
と回答しており、さらには口コミやレビューを読んだ約8割以上もの人が、
と回答しています。
マーケティングの世界では、
と言われて久しいみたいですが、商品の説明力や紹介力に加えて口コミも取り入れ必須要素になっている感じがします。
口コミが効果を発揮する前提
では、
口コミやレビューなどのウィンザー効果はどのような時に効果を発揮するのか?
様々な検証結果では、
- 利害関係がないこと
- 一定数以上の数があること
の2つが揃った時に大きな効力を発揮すると考えられています。
利害関係がないこと
ここでいう「利害関係がない」は、
- 当事者
- 関連団体
- ライバル関係にある立場からの批判
- 口コミやレビューを書くことで販売元から利益を得ない
などの口コミやレビューにあたります。
当事者や関連団体などが発信する情報の場合には誇張されている場合も考えられますし、同様の商品を扱ってるライバル会社が発信する情報には必要以上に貶めている可能性もあります。
逆にいえば、ライバル関係にある立場にもかかわらず、その立場から他社製品を推奨している場合には信憑性が増す傾向にあります。
また、第三者でありながら口コミやレビューをすることで利益を得られるなどの見返りがある場合も、必要以上に褒めていたり誇張されてりします。
が、この場合は分かりづらいケースが多いのは確かです。。
一定数以上の数があること
近年では口コミやレビューの持つ効果が広く知られるようになってきたため、サクラを用意して口コミやレビューを行っていることも残念ながら少なくありません。
また、「一定数以上」という言葉の定義も扱うものによって変わってきてはしまいますが、基本的に人は個人の意見よりも集団の意見を重要視する傾向があります。
これは「バンドワゴン効果」と呼ばれているもので、例えば同じ飲食店でも行列ができている方が
と感じやすい傾向があり、
みんなが良いといってるものだから良い
と同調してしまう心理作用のことを指します。
また、口コミやレビューを見るひとつの要因として、
- 自分がまだ知らない情報を得たい
という気持ちがあるためと言われていますが、口コミやレビューの数が多いほど自分の知らない情報を多角的に得られる可能性があります。
このような複数の心理作用が相まって、口コミやレビューなどの数が多いほどウィンザー効果も効力を発揮されやすくなるとされています。
口コミの効果的な使用例
ですが、ただ口コミやレビューの数が多ければいいか?と言ったら実際にはそうでもありません。
口コミやレビューを書いている人はどんな人か?を説明する
口コミやレビューを行っている人が、その商品や製品の販売・製造元などと利害関係のないことがウィンザー効果を発揮する2大要素のひとつだと記述しましたが、実際に利害関係がないことを証明できれば、強力な口コミやレビューとしてウィンザー効果が期待できます。
あくまでも一例ですが、
- (顔)写真
- 直筆の手紙
- 普段はどういった仕事をしているのか
- (該当商品を)知った経緯
- 購入した理由
などなど、より具体的な内容を掲載することで信憑性が高くなる傾向があります。
ただ単に、
などの短文だと自作自演の可能性や口コミやレビューをすることで見返りがあるんだな、と勘ぐられがちになってしまい口コミやレビューによるウィンザー効果は発揮しにくくなります。
批判も入れる
加えて、100ある口コミやレビューで100全部褒めている内容では、それがたとえ本当だったとしてもかえって怪しまれてしまいがちです。
口コミやレビューを見るひとつの要因として、
- 自分がまだ知らない情報を得たい
という気持ちがあると先述しましたが、そこには
といった気持ちも含まれていますし、そういった場合には割と疑って見ている場合も多いです。
人は同調を求める承認欲求が強くもあるので、全部が全部褒め称える内容では疑念が拭いきれず、
とより疑い深くなってしまいます。
100ある口コミやレビューなら、2割弱の15個〜18個くらいは批判的内容を含んでいた方が、疑念の同調を求める承認欲求にも応えられ信憑性も増してくると言われています。
などなどの批判は、一見マイナスイメージではありますが口コミの信憑性を増す効果に加えて購入後のクレームを少なくする効果も期待できますので、結果的に決してマイナスだけとは限りません。
口コミを使う上で大切なこと
とマーケティングの世界では言われていて、商品の
- 説明力
- 販売力
- 宣伝力
- コピーライティング力
- SNSなどのバイラル力
などなど、様々な展開力が次々に求められるようになって来ています。
口コミやレビューといった要素も、必要不可欠な展開力のひとつになっていますが、かといって口コミやレビュー集め躍起になるのはちょっと違うのかなーとも感じています。
捏造などは問題外です。
購入だったり何かの選択だったり、実際の判断は読み手に任せるというさりげないスタンスで使用するのがいいのかなと。
口コミやレビューはあくまでも展開手法のひとつの手段ですし、読み手に納得に近い
っていう感情を供給する場と個人的には思っています。
だとしたら、付加価値的要素としてさり気なく添えておくくらいの方が好まれるように感じています。
なので、
って全面に押し出すより、
といった感じの付け加え型の方が、口コミやレビュー本来の役割的なものと相まって
って納得に近い感情が自然に生まれやすくなるんじゃないかな、と思っています。
とはいえ、口コミやレビューには「バンドワゴン効果」狙いを始め、多くの目的や意図を含んで使用されているのも事実です。
上記は、あくまで付加価値的要素としての口コミ / レビューの使用方法例ではありますが、大切なことは、ただ何となく口コミを載せておくのではなく、意図する目的にしっかり沿った表示の仕方で口コミやレビューを使用することにあるんだと思います。
「バンドワゴン効果」に関しては、恋愛的な要素と絡めて下記で記載していますのでご参考までに。