例えば
って聞かれた時に、回答を知ってる知らないは別として真っ先に手を挙げる人はクラスに1人はいるものです。
また、仕事でも
と率先して取り組む人もいます。
このように「目立つ人」はある意味自分の印象付けが上手いとも言えます。
人間の視野と印象のお話
一般的に人の視野は、健康状態時であれば、
- 上下:60°〜70°
- 左右:100°
前後を見ていると言われています。
ですが、これはあくまで物理的な視野であり、実際に見えているものと認識しているものは決してイコールではありません。
私たちが何かを見るときは、目立つ部分により視線がいきがちになるため、視野範囲はもっと狭くなる傾向があります。
また、見たものから目立つ部分の特徴的イメージを作り上げてしまう心理傾向があると言われています。
例:1
今すっごく欲しいバッグを持った人が前から歩いてきた場合、バッグだけに気を取られて、どんな人がそのバッグを持っていたのか覚えてなかったり、
例:2
初対面の方と話をしていたら、手首のところに入れ墨があったのを見た後、話の内容はほとんど入ってこなくなり、本当はいい人かもしれないながら「この人は危険だ」というイメージだけが残ってしまう…。
なんてことが実際に見たものから目立った特徴のイメージ作りをして、実際の視覚範囲を狭めてしまっている心理作用の一例です。
顕著性効果
これは『顕著性効果』と呼ばれる心理作用で、そのもの自体の全体の価値よりも自分が気になった部分や特徴などが印象として残るようなことを指します。
顕著性効果の実験
この実験では、下記の図のように配置され、
検証前提
- AさんとBさんが向かい合わせに座って世間話をしてもらう
- AさんとBさんは立場的にも地位的にも似ている同年代同士
- 周囲にいるア〜エの人たちには、AさんとBさんの会話の様子を周囲から観察してもらう
- ア〜エの人たちはAさんとBさんそれぞれ初対面
という内容で検証が行われました。
この検証が終わった後、周囲のア〜エの人たちに
「地位や立場が上だったのはどちらだと思いますか? 」
という質問をしたところ、Aさんの顔がよく見えてBさんの顔は全く見えない位置だった(ウ)の人は、
と答えたのに対して、逆にAさんの顔が見えずBさんの顔がよく見える位置にいた(ア)の人は、
と答えました。
また、AさんとBさんどちらの顔も見れた位置にいた(イ)(エ)の人は
と答えたそうです。
実際に会話を行っていたAさんとBさんの立場は対等ですし同年代の方同士だったにもかかわず、顔がよく見えたというだけで高く評価される傾向があることがこの検証から読み取ることができます。
言い換えれば、
顕著性効果によって目立つ人はより評価を得られやすくなる
ということが言えます。
顕著性効果の使い方
あくまで「目立つこと」を目的とした場合、なるだけ印象付けたい人の目の前にいるということが大切になります。
会議や商談などで、ちょっと自身がないプレゼン資料しか用意できなかったときは、影響力のある人の目の前に座って話すことであなた自身の印象を深め評価をより高める効果が期待できるためです。
ここで大事なのは、自分の評価が定まらないうちに顕著性効果を使うことです。
一度決まってしまった印象や評価を覆すのはなかなか難しいですし、割と時間も掛かります。
なので、初対面のときや初めてのクライアントに行うプレゼン時など、自分の評価が決まってなかったり、ある種自分が人として試されるような状況などで、自分の評価をよくしたいと望む場合、積極的に注目してもらいたい人の目の前に座ることが大切となります。
もし、眼の前の席を確保することができなかった場合には、
- 声の大きさ
- 話し方
- 姿勢
- 堂々とした態度
などをアピールポイントとして相手の視線や注意を集めるようにすることで顕著性効果を発揮しやすくなります。
と思いがちな内容ではありますが、数々の局面を切り開いた坂本龍馬は交渉の場で「相手への印象付けもうまかった」と説く歴史家は少なくなく、その坂本龍馬は会話のテクニックとは別に、
- 相手の真正面に構える
- 声が大きかった
- 堂々とした態度で望む
といったようなことも心がけていたと言われています。
ちょっと恥ずかしいことかもしれませんし、何かと手を挙げたり発言をすることは勇気が要りますが、その分
- 相手へ印象付けられる
- 高評価が得られやすくなる
などのメリットもありますので、やってみる価値は充分にあると思います。