「人との距離をグッと縮める魔法の言葉」の前に…
例えば、フラッと寄った書店で占い関係の本が目に留まったとします。
その本の著者は心理学者で、背表紙には年配ながらピシッとしたスーツを着こなしている顔写真が添えられていました。
中身をパラパラとめくっていたら、あるページで手が止まりました。
そこには、
[prpsay img=”https://shinritech.com/wp-content/uploads/2018/12/book.png”]これはもう古くから心理学の世界で言われていることではありますが、学術的に心理学と血液型の相関関係は次のように証明されています。
A型
生真面目でコツコツと物ごとに取り組み、努力を重ねるタイプ。
どちらかというと感情より理性で動くことが多いため、恋愛で悩むことが多い傾向にある。
B型
割とおおざっぱな性格で、人や物の好き嫌いが自分の中ではっきりしている。
集団の中ではちょっとワガママと見られがちだが、打ち解けた間柄同士ではよき理解者となれる。
O型
普段から明るくて友人も多く、よく人に相談ごとを受けることが多い傾向にある。
割と受け身なタイプでもある分、恋愛など自分事に関しては苦労が多いことも…。
AB型
ミスや失敗をしたとしてもあまり悩みすぎず、次へ向かう意識が強い。
努力していることを努力とは捉えず、割と平然とやってのけてしまうため、何かと大成功を収めることもしばしば。
恋愛においては、パートナーとなるべき相手の門戸は狭め。
これらは、心理学的に時代の変化なく証明され続けています。
[/prpsay]というな内容が記載されていたとします。
本はまだ続いているのですが、ここだけ読んで
おお!当たってるかも…!
とその内容に惹きつけられてしまったら、あなたは普段からだまされやすいという危険性を持っているかもしれません。。
血液型と性格に関するウソ
事実として、心理学の世界では血液型と性格に関する因果関係は一切認められていません。
し、昔も今も血液型と性格の相関関係を示したデータは全くありません。
上記の性格判断は、一般的に言われていることを抽象的にして適当にくっつけただけの内容となっています。
バーナム効果
もし仮に、前述の性格診断が「当たっている!」と思ってしまったとして、このような誰にでも当てはまる内容を
「自分に当てはまるし、この本の言ってることは正しいのかも…」
と受け入れてしまう心理効果のことを、心理学術上『バーナム効果』と呼ばれています。
バーナム効果とは?
『バーナム効果』は、アメリカの心理学者ポール・ミール氏が発見したもので、発見のきっかけとなった興行師の名前から冠したものとされています。
繰り返し実験を行った結果として、
実際は誰にでも当てはまること、もしくは、実際には自分に当てはまらないようなことを言われたのにもかからわず、約90%弱もの人々が「当たっているかも」と回答し、
「全く当てはまらない」と回答した人は0%で1人もいなかった
という興味深いデータを発表しています。
バーナム効果の影響力
人は誰でも「認められたい」という願望が根底心理にあると言われています。
(=是認欲求)
バーナム効果は、実際は誰にでも当てはまることを言われているだけなのに、この「認められたい欲求」が刺激され、
自分のことをよく分かってくれている理解者
だと勘違いをしてしまいやすくなります。
また、効き目が強いと
この人の言うことを何でも正しいかも…
と思って信じきってしまう人も少なくない、割と悪用厳禁な心理テクニックのひとつです。
では、実際にバーナム効果はどういった使われ方をしているのか…?
バーナム効果の使われ方・例
あなたが内気な性格でも、普段から快活で陽気な性格でも特に関係ありません。
例えば友人や同僚などから
と声をかけられたとします。
今はちょっと警戒心というか、読んでて身構える意識が強いかもしれませんが、警戒心のフィルターがない心理状態だと、
といったような、相手に対して割とポジティブな心象になりやすい傾向にあります。
人によっては、
と自ら心を開いてしまう人も少なくありません。
加えて、
と言われたら、
私のこと分かってくれてる
という心理状態に拍車が掛かります。
しかし、お気をつけください。
人は何かと疲れています。
それに、「人よりも頑張ってる」というのは、基準が曖昧で抽象的な表現の代表的なひとつですし、認められたいという心理が人の根底にある以上、そう言われて嫌な人はほぼいないです。
が、このように使われると、ポール・ミール氏がバーナム効果の検証で行った実験結果でも、約90%弱もの人々が「当たっているかも」と回答したのはうなずける気もします。
バーナム効果の活用例
上記の他にも、例えば、
と、まずはざっくりとした抽象的で誰にでも当てはまりそうな内容の言葉を投げかけてくることが多いです。
そして、そこからだんだんと各人に合わせた具体的な内容に落とし込んでくるケースは、バーナム効果の活用例といえます。
バーナム効果を恋愛や対人に活かす場合
敏腕営業マンやトップセールスマンは、このバーナム効果の使い方が非常に上手いということが分かっています。
また、口が達者と呼ばれる人の中には、意図してか無意識か自然と出来てしまう人もいます。
上記のような方々は、
といったような、人の根底にあるとされる「認められたい欲求」を巧みにくすぐってくる言葉を自然と相手に投げかけているケースが多いそうです。
この他にも、
といったような、その人の行いに対して労いの言葉をかける場合が多いのだとか。
そうすることで、
私のことを理解してくれてる…!
というある種の錯覚を起こさせやすくしているそうです。
ポイントとしては、
バーナム効果活用時のポイント
- あくまでさり気なく
- 抽象的でポジティブな言葉を使う
ということです。
人との距離をグッと縮めるバーナム効果
抽象的で誰にでも当てはまりそうなことを自分だけに当てはまるように受け止めてしまう心理現象の「バーナム効果」。
ですが、使い方に寄っては人との気持ち的距離をグッと縮めるのに有効な手段となります。
ちょっと悪意あるバーナム効果使用者によって自分が操られてしまわないようにする喚起の念も込めて記事にしてみました。
が、コミュニケーションがちょっと苦手な人でも割と自然に相手との距離を詰める事のできる有効な会話術のひとつでもありますので、良識あるあなたには有効に活用して頂ければ幸いです。